「GTロマン」と「カクテルハート」と親父越え【スパゲティ・ナポリタン】
僕はあまりスパゲティ・ナポリタンを外で食べないし、作りません。
もしかしたら、幼少の頃からイタリア料理だと思い込んでいたのを裏切られた気持ちから避けていたのかもしれません。
今日、生まれて初めてぐらいにちゃんと作ってみました。
なんや、これ!! めっちゃ難しいやん!!
失敗ですね。
乾燥バジルを使っちゃダメです。パセリじゃないと洋食屋の枠をはみ出しちゃう・・・。
今回は冷蔵庫の舞茸を使いましたが、これも缶詰マッシュルームでなければあの「ツルン」の歯ごたえが足りない。
冷蔵庫にウィンナー、ベーコン、ハムがあって、今回はウィンナーを投入。まんま自信の無さの現れ。全体のバランスが整えば、ここはハムでしょう。
味は、いくらでも手もお金もかけられます。
でもそうじゃなくて、今日の僕のスパゲティ・ナポリタンには「サウダージ」が足りないのです。
初めての彼女と、格好付けてリチャード・ギアの出てる洋画なんか映画館に観に行って、帰り道はいつものお好み焼き屋は敢えて外して、お店の入り口のすぐ横の本棚に『GTロマン』と『ハートカクテル』が並んでて口ひげのマスターがやってる喫茶店で、調子に乗って馴染みのような顔をして席に着こうとしたらマスターに軽く別の席に誘導されてしまった、あのとき食べたナポリタンの味がこの皿にはしないのです!!
なんだろう、何が足りないんだろう?
なんて言いながら、ある一つの自覚が僕の胸をつねりました。
言い訳ですよ。レシピの発祥だとか郷愁だとか。
そう、洋食屋をやっていた自分の父親のスパゲティ・ナポリタンを越えられないことを、はなから諦めて遠ざけていたんです、この料理を。
何が足りない・・・って、人生経験と作った皿の数が足りないんです。
"I'm your father!!"